第17回「希望号」(黒部・高山・白川郷)


思い思い、善光寺参拝 「希望号」長野に到着
 障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第17回希望号」(茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団主催)の一行は18日、長野県に到着し、昼食に「峠の釜めし」を味わった後、善光寺(長野市元善町)を参拝した。
 一行は4台のバスに分かれて乗車し、車窓から見える紅葉を楽しみながら同県に向かった。昼食はご飯の上にシイタケやアンズ、鶏肉など9種類の具材が乗り、土釜で炊き込まれた「峠の釜めし」に舌鼓を打った。
 創建から約1400年の歴史を持つ善光寺では、記念撮影を行った後、思い思いに参拝。1時間ほど滞在し、参道や仲店通りを散策して楽しんだ。石岡市から参加した堀田良広さん(54)は「風格があり、大きかった」と笑顔を見せた。
 19日は富山県の黒部峡谷鉄道のトロッコ列車に乗車するほか、岐阜県の白川郷を訪れる予定。 (松原芙美)
(2017年11月19日付茨城新聞掲載)

【写真】善光寺で参拝に向かう希望号の参加者=長野市元善町

白川郷・合掌造り見学 希望号2日目、トロッコ列車眺望も満喫
 障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第17回希望号」(茨城新聞、茨城新聞文化事業団主催)の一行は19日、富山県黒部市でトロッコ列車から見る峡谷の眺めを楽しみ、岐阜県白川村の白川郷で世界遺産の合掌造りを見学した。雄大な自然や地域文化と触れ合い、旅を満喫した。
 一行は、黒部峡谷の黒部峡谷鉄道宇奈月駅でトロッコ列車に乗り込んだ。車窓から見える黒部川や仏様に似た形の「仏石」などを眺めながら、約20キロの道のりを1時間ほどかけて欅平駅へ向かった。日立市の伊藤由美子さん(52)と下妻市の山中美代子さん(70)は「雪と紅葉の両方が見られてよかった」とそれぞれうれしそうに話していた。
 白川郷では、雪がしんしんと降る中、合掌造り集落を散策。記念撮影したり、お土産を買い求めたりしてそれぞれ楽しんだ。
 夜はビンゴ大会や「おたのしみショー」が催され、参加者同士で交流を一層深めた。 (松原芙美)
(2017年11月20日付茨城新聞掲載)

【写真】合掌造りの前でポーズを決める希望号の参加者=岐阜県白川村

希望号最終日 朝市やワサビ堪能
 障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第17回希望号」(茨城新聞社、茨城新聞文化事業団主催)の一行は20日、2泊3日の日程を終え、それぞれバスで帰路に就いた。参加者は前夜の「おたのしみショー」で歌やダンスを共にして絆を強めたほか、同日は岐阜県高山市で宮川朝市を散策した後、長野県安曇野市でワサビをふんだんに使った料理を頬張った。
 ショーでは、参加者全員でSMAPの「世界に一つだけの花」を踊ったり、谷村新司さんの「サライ」を歌ったりして最後のひとときを楽しんだ。 宮川朝市では、飛騨地方で昔から作られている人形で、猿の赤ん坊を意味する「さるぼぼ」や飛騨リンゴなど飛騨名物を品定めした。
 安曇野市では、ワサビが混ぜ込まれたせいろご飯や、ワサビの漬物を昼食に味わい、デザートとして多くの人が、ワサビ味のソフトクリームを試した。
 友人に誘われて参加したひたちなか市の淡路陽子さん(70)は「なん県も訪れる盛りだくさんの旅でよかった」と笑顔だった。(松原芙美)
(2015年11月18日付茨城新聞掲載)

【写真】ワサビ味のソフトクリームを味わう参加者=長野県安曇野市

心つなぐ旅 第17回希望号(上) 再会
■「旅先だから話せる」 変わらぬ友情に笑顔
障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第17回希望号」(主催・茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団)が11月18~20日に開催された。障害者とその家族、ボランティアなど計約120人が長野、富山、岐阜3県それぞれの名所を訪れ、旅や出会い、交流を楽しんだ。参加者に旅先での思いを聞いた。 (報道部・松原芙美)

 観光客でにぎわう長野市の善光寺。冷たい雨が今にも降り出しそうな曇り空の下、楽しそうな声が聞こえてきた。「また旅行ができてうれしい」。車いすの中崎早苗さん(48)=常陸大宮市=はボランティアの大森多嘉子さん(69)と笑い合った。
 中崎さんは足などに障害を抱え、移動に車いすが欠かせない。普段は両親と暮らすが、希望号には毎回1人で参加している。「親が一緒だと何かやりたいことがあっても止められる」。旅行中は富山県黒部市でトロッコ列車に乗ったり、岐阜県白川村の白川郷で合掌造りを見学したり、さまざまな経験ができる。「心配する気持ちも分かるけど、1人で自由に過ごす時間も欲しい」。
 大森さんはそんな中崎さんを優しいまなざしで見つめていた。2人はおととしの希望号で知り合い、その後もメールで交流を続けていた。今回の旅も参加するかどうか、連絡を取り合っていた。「旅で知り合った友人と再会するのが楽しい」。2人は顔を見合わせ、ほほ笑んだ。
 「若い人がボランティアに取り組んでくれるのはありがたい。明るい気持ちになる」。脳性まひの川又正宏さん(59)=ひたちなか市=は目を細めた。ボランティアは今回約30人。初めて大学生も参加した。茨城キリスト教大の女子学生4人で、川又さんをサポートした益子南さん(20)は「川又さんに色んなことを教えてもらった」と声を弾ませた。
 安保里紗さん(20)と兼子みゆきさん(19)は「とてもいい経験になった」と口をそろえた。障害者へのサポートの仕方やタイミングで悩んだこともあったが、「一緒に楽しむことができた」。
 富岡幸恵さん(21)は移動中のバスの車内で曲当てクイズを行った。「みんな楽しんでくれたようで良かった。盛り上げようとみんながフォローしてくれた」と逆に感謝。「自分一人の力だけじゃ楽しむことはできなかった。一致団結できたと思う」。
 出会った人たちと思う存分楽しむ。若い力が心をつないだ。
(2017年12月17日付茨城新聞掲載)

【写真】トロッコ列車に乗り、笑顔を見せる中崎早苗さん(左)と大森多嘉子さん=富山県内

心つなぐ旅 第17回希望号(下) 家族
■写真で子の成長確認
 雪が舞い、凍えるような寒さの岐阜県白川村。世界遺産の合掌造りはうっすらと雪化粧していた。
 寒さでみんなが観光をためらう中、上原和也さん(70)=水戸市=と妻祐子さん(62)、息子文也さん(30)の家族3人だけが合掌造りを背景に笑顔で記念撮影していた。
 文也さんは自閉症などの障害を抱える。「いろんな人のおかげで無事30歳を迎えられた」。息子の成長に、和也さんと祐子さん夫婦は感謝する。 上原家は毎年、家族3人の写真を年賀状にしている。親戚や友人、文也さんの恩師に送る。「お世話になった人たちに『3人とも元気だよ』と伝えたいんです」と祐子さん。今回の旅では善光寺や黒部峡谷などの名所でたくさんの写真が撮れた。「今年は年賀状の候補写真が多いね」。3人は肩を寄せ合って笑った。
◇   ◇
 「個人では旅行に行けないのでありがたい」。古川タミさん(77)=日立市=は、夫寿一さん(78)と約10年前から「希望号」や「希望の翼」に参加している。
 寿一さんは約30年前、脊髄の病気を患った。以来、車いすの生活が続く。若い頃から旅行が好きだったという寿一さんは「病気になってからは、どこにも行けないと悩んでいた」。
 何とか旅行したいと思っていた矢先、「希望の翼」を知り、参加を決めた。「旅行できるなんて夢にも思わなかった」。うれしかったのを今でも覚えている。
 タミさんは、寿一さんがどこに行くにも寄り添う。仲むつまじい2人だが、時には「他の人には分からない大変なこともある」とタミさん。病気が発症した当初、気持ちが落ち込む寿一さんに不満をぶつけられたことがある。だが、「病気になった本人が一番つらい」と支え続けた。気が付けば寿一さんの存在が、タミさん自身の「心の支えになっていた」。
 旅は2人にとって年に1度の楽しみ。だが年を取って体力に不安が出てきた。大きなバッグを持って移動し、車いすを押せるのか。しかし心配いらなかった。旅に向かうバスの集合場所までは、息子が運転手を買って出て、快く送ってくれた。旅先では、ボランティアが率先して寿一さんの車いすを押しくれたし、タミさんを気遣ってくれた。
 「楽しかった」。旅を終えた2人の笑顔が輝いていた。

(2017年12月18日付茨城新聞掲載)

【写真】雪が降る中、合掌造りの見学を楽しむ上原さん家族=岐阜県白川村

【主催】
茨城新聞社・(公財)茨城新聞文化福祉事業団

【後援】
茨城県・茨城県教育委員会・茨城県市長会・茨城県町村会・茨城県医師会・茨城県社会福祉協議会・茨城県身体障害者福祉団体連合会・茨城県身体障害者福祉協議会・茨城県手をつなぐ育成会・茨城県視覚障害者協会・茨城県聴覚障害者協会・日本筋ジストロフィー協会茨城県支部・茨城県肢体不自由児者父母の会連合会・茨城県心身障害者福祉協会

【旅行企画・実施】
近畿日本ツーリスト(株)水戸支店