第16回「希望号」(福岡・長崎)

希望号福岡到着 太宰府参拝、歴史感じる 「梅ケ枝餅」に舌鼓

 障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第16回希望号」(茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団主催)は15日、福岡県に到着、太宰府天満宮を参拝した。穏やかな秋晴れの中、一行は国の重要文化財に指定される風格ある本殿を参拝し、歴史を肌で感じた。
 障害者と家族、ボランティアなど計105人は同日午前に羽田空港を出発、午後2時すぎに福岡市内に入った。太宰府天満宮には1時間ほど滞在。本殿を参拝した後、思い思いに表参道を散策して楽しんだ。天満宮名物で中にあんの入った焼き餅「梅ケ枝餅」を買い求める姿が多く見られ、参加者は焼き立てを頬張った。土浦市から参加した土屋めぐみさん(29)は「参拝できてよかった。餅もおいしかった」と満足そうだった。
 一行は同日夜、長崎県佐世保市のハウステンボス内のホテルに到着した。

(2015年11月16日付茨城新聞掲載)

希望号、ハウステンボス観光 異国情緒を満喫

 障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第16回希望号」(茨城新聞、茨城新聞文化事業団主催)の一行は16日、長崎県佐世保市のハウステンボス観光を楽しんだ。参加者はオランダの街並みを再現した園内を散策し、異国情緒を満喫した。
 参加者は同日午前から、広大な敷地の園内を回りながら、ショーを見たり、園内の運河で運航される船に乗ったりして思い思いに楽しんだ。
 中でも高さ105メートルのシンボルタワー「ドムトールン」には多くの参加者が立ち寄り、地上約80メートルの展望室から園内を一望して「外国みたい」「すごい」と歓声を上げた。また、女性で構成する「ハウステンボス歌劇団」の華やかな歌と踊りのショーなども堪能した。
 ひたちなか市の石津槙記さん(30)は「とても楽しかった」と笑顔だった。

(2015年11月17日付茨城新聞掲載)

ハウステンボスを自由に散策する参加者=長崎県佐世保市
長崎、楽しい旅満喫 「希望号」2泊3日終了

 障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第16回希望号」(茨城新聞、茨城新聞文化福祉事業団主催)は17日、最終日を迎えた。参加者105人は長崎市の「長崎平和公園」などを訪れた後、福岡空港から羽田空港に向かう便に搭乗し、2泊3日の日程を終えた。
 参加者は同日午前、長崎県佐世保市のハウステンボス内のホテルをバスで出発し、長崎平和公園を訪れた。同公園では「平和祈念像」を見学した。1955年に建造された青銅製の像で、高さ9.8メートル、台座3.8メートル、重量約22トン。天を指す右手と水平に伸ばした左手が象徴的だ。参加者は写真を撮ったり、像に向かって手を合わせるなどして長崎の歴史に思いをはせた。
 日立市から参加した古川壽一さん(74)は「楽しい旅を満喫させてもらった」と笑顔を見せた。

(2015年11月18日付茨城新聞掲載)

平和祈念像の前で写真を撮る参加者=長崎市
絆のかたち ’15希望号in九州(上) 家族の大切な時間

 ■「旅先だから話せる」
 障害のある人たちに旅行を楽しんでもらう「第16回希望号」が11月15~17日の日程で実施された。障害者とその家族、ボランティアなど約105人が太宰府天満宮(福岡県太宰府市)やハウステンボス(長崎県佐世保市)などを訪れた。友人や親子、さまざまなかたちの絆で結ばれた参加者。旅先での思いを聞いた。

 希望号初日。気持ちの良い秋空の下、太宰府天満宮の表参道を散策する親子の姿があった。参加するのは5回目というひたちなか市の作山良子(りょうこ)さん(63)。「2人で参加するのが恒例なのよね」。作山さんは、車いすに寄り添うように歩く娘の郁(かおり)さん(33)と顔を見合わせて笑った。
 作山さんは12年ほど前、筋肉が少しずつ壊れる難病にかかった。手や足に力が入らなくなり、現在は長時間の歩行が困難だ。
 趣味の旅行を諦めかけていたところ、希望号の存在を知った。多くのボランティアが障害者と共に参加する旅。「これなら行けるかも」。参加に踏み切った。
 今は東京に住む郁さんと過ごせる大切な時間。「旅先だからか、電話よりもいろんなことを話せるの」。作山さんは声を弾ませた。

 「最初は来ようかどうか迷っていたんです」。初参加の高橋百合子さん(60)=石岡市=は娘の千夏さん(25)の手を引きながら話す。千夏さんは言語機能などに障害を抱える。2泊3日の旅行は初めてだ。「不安もあったけど、長崎は連れていったことがなかった。いろいろなものを見せてあげたかった」。高橋さんは参加を決めた。
 音楽を聴くことが大好きという千夏さん。2日目の佐世保市のハウステンボスで、広場でギターの生演奏に聞き入る高橋さん親子の姿があった。「自分からぐんぐん先に行きたい所に進んで行く。本当に楽しそうで良かった」。高橋さんはうれしそうに話した。

(2015年12月19日付茨城新聞掲載)

太宰府天満宮の散策を楽しむ作山良子さん(左)と郁さん=福岡県太宰府市
絆のかたち ’15希望号in九州(中) 温かく見守る親

 ■友人同士に「安心感」
 ヨーロッパの街並みが再現された長崎県佐世保市のハウステンボス。成島時子さん(68)=土浦市=と豪紀(ごうき)さん(31)親子、中嶋すみ子さん(67)=筑西市=と孝之さん(40)親子は4人で園内を散策する。
 「友人と一緒の旅。それが何より楽しいんだと思う」。希望号に初参加の中嶋さんは息子の孝之さんを温かく見守る。
 孝之さんは交通事故で重傷を負い、脳機能障害を抱える。現在もリハビリを続ける日々で、宿泊旅行は久しぶりだ。
 孝之さんと同じく障害のある豪紀さんは、障害者が中心となって働く職場に勤める同僚で友人。「友達同士で参加できる貴重な機会。だから今年は中嶋さん親子を誘おうと思っていた」。昨年から参加した成島さんは力強く話す。
 「最初は緊張気味だったけど、豪紀さんと一緒だとやっぱり安心するみたい」。中嶋さんは2人を笑顔で見詰めた。

 多くの参加者が訪れた高さ105メートルのハウステンボスのシンボルタワー「ドムトールン」。横井修二さん(81)=行方市=は息子の龍寬(たつひろ)さん(52)と、ボランティアや他の参加者と一緒に訪れた。「こうして多くの人とにぎやかに旅行できることが楽しみで毎回来ている」。横井さんは生き生きと話す。
 横井さんは、脳機能障害を抱える龍寬さんを連れ、10年ほど前から旅に参加している「常連」だ。「だいぶ年を取ってしまったが、できる限り参加していきたい」。横井さんは力を込める。
 散策の休憩中、満面の笑みでボランティアと会話する龍寬さんを見守る横井さん。「やっぱり、いろんな人と触れ合えるのはいいよな」。しみじみと語った。

(2015年12月20日付茨城新聞掲載)

休憩中の(右から)中嶋孝之さん、成島時子さん、豪紀さん=長崎県佐世保市
絆のかたち ’15希望号in九州(下) 手話で伝える感謝

 ■旅を通じて得た交流
 希望号2日目の夜。長崎県佐世保市のハウステンボス園内はイルミネーションに彩られた幻想的な光の世界が広がる。「本当にきれい。来たかいがあった」。大崎法子(のりこ)さん(45)=笠間市=は、和田明子さん(55)=大洗町=と成田文子さん(58)=笠間市=と楽しそうに顔を見合わせた。
 夜のハウステンボスを散策する3人組。和田さんと成田さんは両下肢に障害があり、昨年の「希望の翼」にも誘い合ってグアム旅行に参加した。
 大崎さんは旅に誘ってくれた同僚が急きょ不参加になり、今回は1人で初参加となった。大崎さんと2人は初対面だが、旅の間に打ち解けた。
 大崎さんは両下肢に障害があり、1人での参加に不安を抱いていた。「楽しそうな2人と会って不安も吹っ飛んだ」。笑顔で旅を楽しむ大崎さんの姿があった。

 ボランティアで参加した山本静子さん(57)=阿見町=と聴覚障害者の大内きん子さん(77)=水戸市=は手話で楽しげにコミュニケーションを取る。2人は14年前に希望の翼に参加して知り合い、以降、参加するたびに交流を深めてきた。「山本さんがいるかどうか毎回楽しみにしている」。大内さんは笑顔を見せる。
 「気持ちが手話でぴったり通じるから、今回もとても楽しかった」。福岡空港で帰りの飛行機を待つ間に、大内さんは山本さんに気持ちを伝えた。「ありがとう。私もいつも元気をもらっているよ」。山本さんは少し照れながら笑った。「こうして旅で出会って、交流が続いているのも何かの縁なんだろうね」。山本さんと大内さんは笑い合う。旅を通じて得た絆が確かにそこにはあった。

(2015年12月21日付茨城新聞掲載)

手話で会話する山本静子さん(左)と大内きん子さん=長崎県佐世保市

【主催】
茨城新聞社・(公財)茨城新聞文化福祉事業団

【後援】
茨城県・茨城県教育委員会・茨城県市長会・茨城県町村会・茨城県医師会・茨城県社会福祉協議会・茨城県身体障害者福祉団体連合会・茨城県身体障害者福祉協議会・茨城県手をつなぐ育成会・茨城県視覚障害者協会・茨城県聴覚障害者協会・日本筋ジストロフィー協会茨城県支部・茨城県肢体不自由児者父母の会連合会・茨城県心身障害者福祉協会

【旅行企画・実施】
近畿日本ツーリスト(株)水戸支店

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