第18回「希望の翼」(グアム)

188人出発 成田空港からグアムへ

障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第18回希望の翼」(主催・茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団)の一行188人が28日、成田空港からグアムに向けて出発した。
参加者は県内各地から同日午前、成田空港へ集合。出国手続きを済ませた後、2便に分乗し、出発した。一行は12月1日までの4日間の日程で、グアムを観光。観光施設でショッピングや食事を楽しんだり、恋人岬やスペイン広場などの名所を巡ったりする。

(2014年11月29日付茨城新聞掲載)

グアムへ向けて飛行機に乗り込む車椅子の参加者=成田空港
伝統のダンス見学 クラフト作り体験も

障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第18回希望の翼」の一行188人は29日、グアム島内の「グアムビーチ&カルチャーパーク」を訪れ、チャモロダンスの見学やクラフト作りなど現地の文化を楽しんだ。
一行は28日夕、タモン地区にあるホテルに到着。29日は同地区の「グアムビーチ&カルチャーパーク」で半日を過ごした。昼食は海を眺めながら、ボリュームたっぷりのオリジナルハンバーガーに舌鼓を打った。石岡市の森野稔さん(73)、てる子さん(73)夫妻は「ハンバーガーの量が多くてびっくり。グアムは初めて来たが海がきれい」と満足げだった。
その後、班別に分かれ、現地の伝統芸能「チャモロダンス」の見学やクラフト作りを体験。家族3人で参加したつくば市の丹波真理子さんは「ダンスや木登りのパフォーマンスは楽しかった。夏って感じね」と笑顔で話した。

(2014年11月30日付茨城新聞掲載)

「グアムビーチ&カルチャーパーク」で記念撮影する「第18回希望の翼」の一行=グアム
グアムの大自然満喫

障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第18回希望の翼」(主催・茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団)の一行188人は30日、グアム島内にある「ハマモトトロピカルフルーツワールド」を訪れ、大自然の恵みと絶景を楽しんだ。
一行は同日午前、同園に到着。班別に分かれ、バナナやパパイヤといった多種多様な亜熱帯の植物が生い茂る園内をトラクター型乗り合いバスで散策した。
車いすでつくば市から初参加した東郷正子さん(76)は「トロッコに乗り、たくさんの植物を見て楽しかった。グアムに来てる実感が湧いた」とにっこり。
その後、高台から島内の大自然を見渡しながら昼食。果物のエッグフルーツやスターフルーツも机に並んだ。親子2人で参加した牛久市の岡添京子さんは「珍しいフルーツが食べられて満足。お花もきれいだった」と目を細めていた。
夜はさよならパーティーが催された。一行は1日、帰国の途に就き、同日深夜に茨城に到着する予定。

(2014年12月01日付茨城新聞掲載)

ハマモトトロピカルフルーツワールド園内を散策する「希望の翼」の一行=グアム
グアムの旅終了を惜しむ

障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第18回希望の翼」(主催・茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団)の一行188人は1日、グアム島内で観光や買い物をし、同日午後、3泊4日のグアム島での全日程を終えた。
午前の観光地巡りで、恋人岬の海を一望した埼玉県の岩井悠子さん(68)は、「全ての青色が表現できるような(色の)グラデーションに感激した」と穏やかに話した。
初の海外旅行を経験した常陸大宮市の粕谷みか子さん(63)は、土産物が入った紙袋を抱え「飛行機に乗るのを楽しみにしていた。景色がとてもきれいだった」と旅の終わりを惜しんでいた。
一行は2班に分かれて帰国予定だったが、搭乗航空機の機材トラブルが発覚。1班153人が同日夕方帰国、2班35人は1日遅れて2日午前9時ごろ成田へ到着予定。

(2014年12月02日付茨城新聞掲載)

恋人岬で景色を眺める参加者=グアム
1日多くグアムの旅楽しむ

グアム島での旅を楽しんだ「第18回希望の翼」(主催・茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団)の第2班が2日朝、成田空港に到着した。
一行は東海村の社会福祉法人・愛信会(村上忠夫理事長)が運営する障害者支援施設「幸の実園」の35人。第1班と同じ1日に帰国する予定だったが、搭乗機の機材トラブルで出発できなくなり、空港近くのホテルに1泊した。
思いがけない滞在延長となったが、ツアーに同行した村上理事長は「皆は疲れた様子もなく、ホテルのバイキング料理を味わい、1日余計に楽しませてもらいました」と話していた。

(2014年12月03日付茨城新聞掲載)

2日朝に帰国した「希望の翼」の第2班=成田空港
明日へinグアム(上) 一瞬をかみしめて

■リハビリの成果実感
障害者とサポート者が共に海外旅行を楽しむ「第18回希望の翼」(主催・茨城新聞社、茨城新聞文化事業団)が11月28日~12月1日まで実施され、障害者や家族、ボランティアら188人がグアムを訪れた。さまざまな思いを抱え、南国でのひとときを過ごした参加者ら。旅先での姿を追った。(運動部・杉野碧)

一行の中に仲良く二つの赤い帽子が並ぶ。「レッド班だから被ってきたの」と水戸市の飛田比呂子さん(73)。班ごとに旗や名札の色が決まっており、飛田さんの班は赤色だった。
車椅子の夫・捷昱(かつあき)さん(77)とともに希望の翼に参加するのは5度目。捷昱さんは15年前、脳出血で倒れてから、左半身に麻痺が残る。「(参加は)年齢的にぎりぎりかな、と思ったんだけど、夫が行きたいみたいだったから」。比呂子さんはほほ笑む。
最終日、グアムの観光名所・恋人岬では、ボランティアに支えられながら階段を一歩ずつ、ゆっくりと登る捷昱さんの姿があった。「以前と違って体力が衰えているのは自分も分かっている。また来たいがいつまで行けるか分からない」と捷昱さん。それでもリハビリは続ける。「今日もリハビリの成果を感じたよ」と声が弾んだ。

つくば市の竹原良子さん(77)は家族5人の大所帯で参加。以前、夫の勇さん(80)、右半身不随の息子の輝明さん(46)と「希望の翼」に参加したことがあり、今回は、パーキンソン病を患う妹二人を他県から呼び寄せた。
良子さんは5人きょうだいの長女。「希望の翼なら、安心して旅行に行けるよ」と愛知県に住む三女・小島明子さん(70)、埼玉県の四女・岩井悠子さん(68)に声を掛けた。
「姉妹で海外旅行なんてもう二度とないと思う。いい思い出になった」。最終日、小島さんはしみじみと話した。

(2014年12月09日付茨城新聞掲載)

ココナツについての説明を受ける参加者=11月30日、グアム
明日へinグアム(中) 夢のひととき

■友の願いかなえたい
初の海外旅行を楽しむ高橋徹さん(35)=つくば市=の車椅子を押すのは小学校からの幼なじみ、長崎琢磨さん(35)。高橋さんは中学3年のとき、交通事故に遭い、約3カ月間意識不明に陥った後、歩行が困難になった。
事故の現場には、長崎さんもいた。サッカー部の仲間でしゃぶしゃぶを食べに行った帰りだった。
高橋さんに「希望の翼」に誘われた長崎さんは、インターネットで過去の「希望の翼」について調べた。「障害を持つ人が自然と諦めちゃう夢をかなえてあげたい」と友の願いを快く引き受けた。
海辺でハンバーガーを食べながら「ありがとな」と高橋さんが言った。長崎さんは少し照れくさそうに、「上から目線だな」と冗談めかして笑った。

「何が楽しいって準備するのが一番楽しい」と話すのは常陸大宮市の須見任子(ひでこ)さん(68)。その姿を夫の覚さん(72)が優しく見守る。
任子さんは、10年以上前に脳出血で倒れてから、右半身にまひが残り、車椅子での生活を送る。任子さんにとって初めての海外旅行。昨年、初めて国内版の「希望号」に参加して以降、今回の旅を楽しみにしていた。
「ことしも希望の翼があると知って、真っ先に申し込んだの」と任子さん。
パスポートを申請してから発行されるまでの時間も待ち遠しかった。
常夏の島で、覚さんは「夢の時間だね」とうなずいた。

(2014年12月10日付茨城新聞掲載)

ヤギの餌やりを楽しむ高橋徹さん(左)と長崎琢磨さん=11月29日、グアム
明日へinグアム(下) 将来への一歩

■支援を考える契機に
30歳以上の参加者が目立つ中、茨城キリスト教大3年の宇野明莉さん(21)と井上香織さん(20)は物おじすることなく、周囲と活発にコミュニケーションを取る。
1班の班長と副班長を担った2人は移動のバスの車中、最後の夜にさよならパーティーで披露する童謡「故郷」の手話を参加者にレクチャーした。出し物は、井上さんが旅行中、付き添った聴覚障害者の女性に手話を教わる中で思いついた。
それまで手話を全く知らなかった井上さんだが「これからもっと手話を覚えたい」。特別支援学校の教員を目指す宇野さんは「今まで成人の障害者の方と接する機会がなかった。介護する人も年を取る。大人になって、どういう支援が必要か考えるきっかけになった」と力強かった。

最後の夜、恒例のさよならパーティーは、参加者の歌やダンスで大いに盛り上がった。宴のあと、大洗町の会社員、和田明子さん(53)と笠間市の主婦、成田文子さん(57)は「こんなふうに社会の中に壁がなくなったら最高」と興奮気味に話した。
ともに幼い頃から両下肢に障害を抱える2人は、水戸養護学校(現水戸特別支援学校)小学部からの幼なじみだ。
「社会に出ると嫌なことはたくさんある。だけど、また明日から頑張ろうと思えた。明日への希望につながっていきます」。和田さんがそう話すと2人は少女のような笑顔を浮かべた。

(2014年12月11日付茨城新聞掲載)

自由時間にホテルのプライベートビーチで笑顔を見せる和田明子さんと成田文子さん(左から)=11月29日、グアム

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