第16回「希望の翼」(台湾)
150人出発 茨城空港から台湾へ
障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第16回希望の翼」(主催・茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団)の一行150人は26日、茨城空港から台湾に向けて出発、現地時間の午後5時すぎに台北市内のホテルに到着した。地元の人たちの歓迎を受ける中、アミ族との文化交流や台北市民と夕食をともにしながら、交歓会が行われた。
参加者は県内各地から送迎車などで午前10時に茨城空港に集合。出国手続きを済ませた後、復興航空のチャーター便の前で記念撮影し、正午に空の旅に向かった。出発時は雨模様だったが、到着した台北は曇り空で時折晴れ間ものぞいた。
台湾では、29日まで4日間の予定で、台北市で開催中の花博覧会や故宮博物院を見学したり、市内観光や太極拳体験、ショッピングなどを楽しむ予定。
(2010年11月27日付茨城新聞掲載)
台北観光や花博を堪能
障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第16回希望の翼」(団長・小田部卓茨城新聞社社長)の一行150人は27日、台北市内を観光した後、花博覧会を見学した。 一行は午前中に忠烈祠や故蒋介石総統の大座像がある中正紀念堂などを巡った。衛兵交代式を間近に見たり、中正紀念堂では全員で記念撮影して見学。午後は開催中の「台湾花博覧会」会場を訪れ、現地のガイド付きで園内を散策。2008年まで世界一の高さを誇った超高層ビルのレストランで夜景とともに夕食を楽しんだ。 特別の配慮で衛兵に触れることができた視覚障害のある鹿嶋市の君和田栄司さん(72)は「このような待遇に感謝する」と話した。障害のある息子の敦久さん(42)と参加した同市の菊池道子さん(69)は「台北だけの観光だったので歩きやすかった」と喜んだ。
(2010年11月28日付茨城新聞掲載)
美術鑑賞や太極拳体験 台湾3日目
障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第16回希望の翼」(茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団主催)の一行150人は28日、午前中に台北市の故宮博物院を見学、午後は太極拳を体験して台湾文化に触れた。 世界四大美術館の一つで、70万点余りの所蔵物を誇る故宮博物院では中国の美術品や歴史的文物を鑑賞。太極拳は市内の公園に移動して地元の指導者から手ほどきを受け、全員がゆっくり体を動かしてさわやかな汗をかいた。 車いすで参加したひたちなか市の作山良子さん(58)は「背中が伸びて気持ち良かった」、耳に障害のある水戸市の岸幸江さん(64)は「いい運動になった。体が軽くなった」と話した。 夜はさよならパーティーが催され、獅子舞も登場して仲間との別れを惜しんだ。希望の翼は29日、4日間の日程を終え同日夕には茨城に到着する予定。
(2010年11月29日付茨城新聞掲載)
思い出いっぱい、元気に帰国
障害のある人たちに海外旅行を楽しんでもらう「第16回希望の翼」(茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団主催)の一行150人は、台湾での3泊4日の旅を終えて29日夕、茨城空港に到着した。 つくば市の丹羽晃一さん(63)は、車椅子を使う娘のまどかさん(29)、付き添いの妻真理子さん(60)の家族3人で参加した。「ほかの障害者、ボランティア、スタッフの方々と触れ合い、普段と違う娘の笑顔が見られた」と話した。 ひたちなか市の照沼文子さん(59)は息子の直樹さん(33)と初参加。「来る前は心配もあったが、歓迎会で自分から進んで踊りの輪に入る息子を見てうれしかった」と感想を述べた。
(2010年11月30日付茨城新聞掲載)
笑顔に会えてin台湾(上) 20歳の記念
■初の海外「夢じゃない」
障害者とサポートする人たちがともに海外旅行を楽しむ「第16回希望の翼」(茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団主催)は11月26日から29日まで4日間実施され、障害者60人と同伴者、ボランティアなど総勢150人が台湾の台北市内を訪れた。思い思いに希望を見つけた参加者。そこには何物にも替え難い「笑顔」があった。(学芸部・高畠和弘) 「車椅子でも飛行機に乗れる。夢じゃないんだ」 吉川佳代子さん(52)=潮来市=は、10月16日に誕生日を迎えたばかりの娘、麻美さんに「20歳の記念に」と、初の海外旅行をプレゼントした。 自宅でデイサービス業を経営している吉川さんにとって、仕事を他のスタッフに任せての参加は一大決心だった。脳性まひによる運動障害で車椅子を使う麻美さんの意思表示は手のしぐさや視線。「人が好きで、市内の夏祭りやイベントにはできるだけ連れていって見せてあげる。土曜の夜は外食と決めている」。外出は佳代子さんが運転して車で出掛けるが、これまでせいぜい1泊の旅行だった。 今回、ボランティアの同行がある点も決断を後押しした。「見ていてくれるので、自分も休憩できる。家族だけだとどうしても…」 ホテルの大食堂での朝食の時、ボランティアが場所を取っておいてくれた。「すごく助けられた」。初日の歓迎パーティーで、車椅子から飛び出さんばかりに体を揺する麻美さんの姿があった。地元のアミ族と手をつなぎ参加者が輪になって踊った。「うれしい時のしぐさ。『一緒にやる?』と聞いたら、パチパチと手をたたいて喜んで、前後に体を揺すっていた」。成人した記念に、麻美さんはこの日初めてビールを口にした。 茨城空港から初めて「希望の翼」が飛び立った。タラップを使っての乗り降りは「車椅子」利用者にとって難しいと思われていたが、リフトを使ってスムーズに行われた。
(2010年12月15日付茨城新聞掲載)
笑顔に会えてin台湾(中) ボランティア
■教えられ、励まされる
ボランティアで初参加の初見美佐子さん(57)=坂東市=は、「実際に来るまでは不安だった」と胸の内を明かした。高校の同級生でグループホームを運営する親友の加藤次枝さん(57)に誘われ、「彼女に付いていけば大丈夫」と参加を決めた。 2級ヘルパーの資格は持っていたが、ボランティアすること自体まったく初めて。旅の約1カ月前に行われたボランティア研修でアイマスクや車椅子を体験。結団式で付き添う障害者と対面し、「とても明るい表情で話をしているのにびっくりした。すぐに打ち解けた」と振り返る。 担当した知的障害のある息子と同伴の母親の姿に教えられることも多かった。「強い信頼感があり、絆が強い。とにかく会話が多く仲がいい」と感じた。 旅を終え、「相手が受け入れてくれたからボランティアの仕事は全然難しくなかった。私も夢中で、みんなが一つの輪になれるのが不思議な気がした」と新たな自分を発見した。 1号車のバスが目的地に到着すると、真っ先に降りて車椅子を運び出して用意していたのは、2回目の参加となる打越隆さん(62)=神栖市。 「健常者では分かり合えないものを乗り越えているからこそ、笑顔が輝いている。お手伝いをして喜んでくれるのがうれしい」と話した。 息子の允昭(よしあき)さんは21歳の時交通事故で亡くなった。「出掛ける時はいつも一緒」と、小学生のころサッカーをしていた時に背負っていたナップザックを旅行中は身に着けていた。来年は13回忌。「息子と同じ年ごろの人を見ると、手を差し伸べたくなる」という。 「障害者の方が明るく振る舞っていて、逆に励まされた。人によって障害が違い、合わせるのに気を使ったが、『ありがとう』と喜んでくれ、普通のツアーよりも得るものがたくさんあった。お金には代えられないもの、いろんな人との出会いが宝物になった」と喜んだ。
(2008年12月16日付茨城新聞掲載)
笑顔に会えてin台湾(下) 自分へのご褒美
■初の海外「夢じゃない」
障害者とサポートする人たちがともに海外旅行を楽しむ「第16回希望の翼」(茨城新聞社、茨城新聞文化福祉事業団主催)は11月26日から29日まで4日間実施され、障害者60人と同伴者、ボランティアなど総勢150人が台湾の台北市内を訪れた。思い思いに希望を見つけた参加者。そこには何物にも替え難い「笑顔」があった。(学芸部・高畠和弘) 「車椅子でも飛行機に乗れる。夢じゃないんだ」 吉川佳代子さん(52)=潮来市=は、10月16日に誕生日を迎えたばかりの娘、麻美さんに「20歳の記念に」と、初の海外旅行をプレゼントした。 自宅でデイサービス業を経営している吉川さんにとって、仕事を他のスタッフに任せての参加は一大決心だった。脳性まひによる運動障害で車椅子を使う麻美さんの意思表示は手のしぐさや視線。「人が好きで、市内の夏祭りやイベントにはできるだけ連れていって見せてあげる。土曜の夜は外食と決めている」。外出は佳代子さんが運転して車で出掛けるが、これまでせいぜい1泊の旅行だった。 今回、ボランティアの同行がある点も決断を後押しした。「見ていてくれるので、自分も休憩できる。家族だけだとどうしても…」 ホテルの大食堂での朝食の時、ボランティアが場所を取っておいてくれた。「すごく助けられた」。初日の歓迎パーティーで、車椅子から飛び出さんばかりに体を揺する麻美さんの姿があった。地元のアミ族と手をつなぎ参加者が輪になって踊った。「うれしい時のしぐさ。『一緒にやる?』と聞いたら、パチパチと手をたたいて喜んで、前後に体を揺すっていた」。成人した記念に、麻美さんはこの日初めてビールを口にした。 茨城空港から初めて「希望の翼」が飛び立った。タラップを使っての乗り降りは「車椅子」利用者にとって難しいと思われていたが、リフトを使ってスムーズに行われた。
(2010年12月17日付茨城新聞掲載)